あしながおじさん J.ウェブスター 石井睦美

2016年11月第1刷

 

ジョン・グリア・ホームで親を知らずに育ったジュディーは、見知らぬ「あしながおじさん」から大学に進学させてもらうことにー。条件は、作家になる努力をすること、日々の様子を手紙で知らせること、あしながおじさんは、それ以外の見かえりを求めない。ジュディーは、大学生活のこと、うれしいこと、つらいこと・・・、さまざまなことを「あしながおじさん」への手紙につづる。小説を書いて得てお金をおじさんに送ったり、授業料が免除される奨学生になるために勉強を頑張ったりと、自分にできる限りのことはしようとする。作家として自立してきちんとお金も返していこうともする。それは、あしながおじさんへの感謝の心と人間として対等でありたいと願う気高い気持ちから生まれてきた。今から100年以上も前に女性が仕事をもって自立して生きていくのが大変だった時代に誕生した古典的名作。

長年あしながおじさんの正体が分からず仕舞いだったジュディーは、大学卒業後、ジャービーぼっちゃんと結婚するのを断った内容をあしながおじさんに伝える。ジャービーぼっちゃん、ことジャーベス・ペンドルトンさんはジュディーが大学1年生の時に出会って以来、夏休みには所縁の農場で暮らしたりダンスパーティーで踊ったりと、ずーッとジュディーの側でジュディの成長を見ていた優しい男性だった。ジュディーは、ついにあしながおじさんから会いに来るようにという手紙の返事をもらって辿り着いた先に待っていた、あしながおじさんは、何とジャービーぼっちゃんで、二人は結ばれるというハッピーエンドのお話。

心温まる作品です。出産直後に39歳で亡くなった著者はマーク・トウェインの姪の娘。