十五少年漂流記 ベルヌ 大久保昭男/訳

2005年10月第1刷

 

ニュージーランドのチェアマン校の14名の子どもたち(イギリス人、フランス人、アメリカ人)と水夫見習いの黒人少年が出発前日に潜り込んだスルギ号が、大人の船長や船員不在のまま出航してしまい無人島に漂流して無人島で生活を始める。島を探索し生活が出来そうな洞穴を見つけ、リーダー(大統領)を自分たちで決め(最初は年長者のアメリカ人ゴードンが選出)、厳しい寒さを伴う冬を乗りこえた後、2代目大統領にはフランス人のブリアンが選出され、落選したイギリス人のドニファンとは悉く対立するものの、ドニファンの命をブリアンが救ったことで二人の間に真の友情が芽生え、更にはブリアンの弟が自分の秘密を兄に明かす。後半は島に大人たちが漂流し、エバンズ・ケイトは凶悪なウォルストン一味から逃げてきて子どもたちの味方になってくれて、ウォルストン一味を殲滅することに成功し、一味のボートで遂に島を脱出して汽船に助けられ、オークランド港に2年ぶりに帰還する。全員子どもたちが死んでしまったと思っていたオークランド市民は全員戻ってきたことで喜びに沸く。1人の少年がつけていた日記が出版されると世界中で読まれることになった、という冒険心を擽るお話。

末尾は「この物語を読んだみなさんが、この少年たちのような体験をすることはまずないだろう。だが、おぼえていてほしいのは、みんなが力をあわせ、熱意と勇気をうしなわなければ、どんな困難にも打ち勝てるということだ」と締めくくられている。

ちなみに巻末の訳者解説は、大統領を選ぶ際に黒人少年に選挙権がないことについて100年前の影響のために仕方ないかもしれないが、今ではあってはならないこと、と指摘しつつ、少年が力を合わせれば悪い大人にも負けない能力があり、それには友情が大切であることを教えてくれているとも説明している。

大昔にきっと読んだとは思うが、すっかり忘れていて童心に戻って楽しめた一冊。