大人の読解力を鍛える 齋藤孝

2019年9月25日第1刷発行

 

裏表紙「人間関係におけるトラブルの多くは、相手が『何を伝えたいか』『何を言いたいか』を正しく理解できていないことに端を発している。情報が複雑に飛び交う現代だからこそ、言葉を、言葉の集合体としての情報を、正確に読み解く力が不可欠なのである。本書では具体的なテキストを挙げながら、行間を読む、感情を読む、場の空気を読む、想像力を働かせて相手の心情を察するといったコミュニケーション全般のスキル向上を目指す。社会人必読の一冊。」

 

第1章 大人に必要な読解力

 1 真意を理解する

    芯で捉える力-言葉の中心を見極めて確実にミートする

    文脈で捉える力-単体ではなく前後の関係性から真意を把握する

    俯瞰して捉える力-「木だけを見ずに森を見る」という意識

    複雑なものを要約する力-多様&過多な情報から本質を抽出する

    不要なものを切り捨てる力-抽出して本質以外は「断捨離」する

    読解力を底支えする語彙力-言葉を知らなきゃ、文章の意味もわからない

 2 真意を推し量る

    行間を読む力-表現されていない“言外の意図”を推し量る

    恋愛は「感情を推し量る力」を鍛えるトレーニン

    場の空気を読む力-暗黙のルールを察知して、取るべき行動を考える

第2章 会話読解力と情報読解力

  1 人間関係を支える「会話読解力」

     読解力とは言葉のナイフを、ケガをせずに受け取るスキル

     論理性が不完全な「話し言葉」でこそ読解力が試される

     ジョークで笑える人、ジョークを真に受ける人

     知識や常識、教養の「共有」があって、ジョークが成立する

     読解力という「違和感センサー」がハラスメントを防ぐ

     会話は卓球のごとし。言葉にかけられた「回転」を読み解く

     言葉にかけられた「補正」を察知し、その真意を慮る

     読み解けないからすぐキレる―読解力は感情の暴走を抑制するブレーキ

     相手の触れられたくない部分を察知する―地雷を踏まない読解力

     状況の解釈は、立場や守りたい利益に左右される

     相手の「コミュニケーションのクセ」を見抜く

     相手の背景を読解すれば、コミュニケーションは上手くいく

     図を描く―マッピング・コミュニケーションで「俯瞰力」を高める

     会話における「要約リアクション」で相手との距離が縮まる

     「センスのいい言葉」に敏感になることで読解力もアップする

  2 メディアに惑わされない「情報読解力」

     一億総発信時代、誰もが問われる情報読解力=メディア・リテラシー

     ネット情報は「まず疑う」というスタンスで―違和感センサーを研ぎ澄ます

     根拠のない不確かな情報は、必ず「裏を取る」

     ネット検索は情報の裏を取るための“最初の一手”

     最低でも3回以上。「超検索力」で徹底的に掘り下げる

     疑わしい情報は、「活字情報になっているか」をチェック

     ウィキペディアは湖面に張った氷。全体重をかけるのは危険

     多数派意見を知って「世の中の風向き」を把握する

     最初から決めつけると、風向きを読み違える

     メディアの情報は「編集ありき」という前提で見る

     言葉の「独り歩き」による誤解・曲解が、真意を隠す

第3章 大人の読解力を鍛えるトレーニン

  1 「文学」で読解力を鍛える

     文学作品を読めば「人間」がわかる―読書で鍛える読解力

     小説を読み解く技術①「引き寄せ読み」-小説と自分の人生をリンクさせる

     小説を読み解く技術②「キャスティング」-登場人物を周囲の人に置き換える

     小説を読み解く技術③「ビフォー・アフター」-価値観の変化を考察する

     音読のすすめ―声に出して読むと役者気分で心理描写に入り込める

     童話や子ども向け小説を“大人の目線”で読み直す

     俳句は書かれていない「余白」にこそ味わいがある

     俳句を読み解くおもしろさを広めた『プレバト‼』の功績

  2 「新聞やネット」で読解力を鍛える

     論理的な文章は、まず書き手の「好き嫌い」を読み解く

     アウトプットを意識して、インプットの精度を上げる―瞬間要約トレーニン

     ネットにあふれる書き込みを読んで、自分を客観視する力を養う

  3 「歌詞」で読解力を鍛える

     言葉の数が絞られる歌詞は、「行間を読む力」を養うのに最適な教材

     歌詞の世界は小説以上に現実の経験を重ね合わせやすい

     「多義的なあいまいさ」が歌の世界をより深くする―『駅』竹内まりあ

     歌い出しの「いいえ」が否定しているものとは―『さそり座の女美川憲一

     歌詞を「画像や映像」で捉えて読み解く―『海を見ていた午後』荒井由実

     言葉の違和感から「比喩」を読み解く―『私はピアノ』サザンオールスターズ

     ポップな歌詞の奥に込められた深き祈り―『君は天然色大瀧詠一

     カバー曲を聴き比べて、歌詞の解釈の違いを楽しむ

  4 「映像と絵」で読解力を鍛える

     オリジナル映画は、映像の“行間”を読む力を養うのに最高の教材

     映画のワンカット、ワンシーンに込められた思いを読み解く

     名作『ひまわり』で、「ひまわり」が象徴するものとは

     途中で止めて続きを想像する。読解力と想像力を鍛える映画鑑賞法

     欅坂46のMVに込められた「相反する感情」の真意

     絵画にも描かれていない“文脈”がある―本を読めば絵がわかる

  5 「スポーツ」で読解力を鍛える

     ノムさんが教えてくれた、野球を「読解する」という楽しみ方

     フィクションのなかの「リアリティ」を見出す、それがプロレスの楽しみ方