2004年11月19日初版第1刷発行
序文 白川静
第1章 初めの物語
四つ目の蒼頡(そうけつ)、王と神の対話、漢字の「物語」へ、
第2章 からだの物語
哀れな「人」、「目」のはたらき、切り取られる「耳」、「道」の中の「首」、知と「足」、「手」の祈り、「∀(さい)」の物語へ
第3章 ∀(さい)の物語
∀(さい)という器、神と人をつなぐ「∀」、身をひそめる神、閉ざされた∀、中国古代への道
第4章 生と死の物語
祭りの場所、育てられる子、棄てられる子、「女」と「神」、「女」の使命、産む「女」、「男」と「力」、「愛」の起源、「死」の物語、死の古代的風景、生と死の往来
「女」の字は、両手を交えてひざまずく「女」の姿勢を表す。神に∀をささげて祈る象形。「男」の字は、「女」の形がリアルな姿にもとづいていたのに比べ、精彩を欠く。どだい「力」などという実体のないものを文字に示しうるはずもない。「力」は耜(すき)の形を示す。
第5章 空翔けるものの物語
「鳥」が運ぶもの、鳥占と神、死者の化身、霊魂のゆくえ、「風」のうごき、「鳳」の羽ばたき
第6章 「物語」ののちに
文字をつくる方法、『説文解字』の六書(①象形②会意③形声④指事⑤仮借⑥転注)、『説文解字』を超えて
漢字の出来方なんて、全く意識していなかったが、ほとんど知らない話ばかりだ。男と女の字、人という字がどうやってできたのか、それ以外の漢字がどうやってできたのか。
古代の中国の人々がどんな想いを込めて漢字を作り上げてきたのか、ごくわずかだか、「漢字」の奥深い世界に触れることができた一書でした。続があるらしいので、機会があれば手に取ってみたいと思います。