コロナ後の未来 ユヴァル・ノア・ハラリ カタリン・カリコ ポール・ナース リンダ・グラットン リチャード・フロリダ スコット・ギャロウェイ イアン・ブレマー 大野和基編 

2022年3月20日第1刷発行

 

帯封「世界が誇る知性7人から日本へのメッセージ 米中冷戦、気候変動、ワクチン戦争、ビッグデータ支配 パンデミックで分断された世界は人類共通の問題に立ち向かえるのか?」

表紙裏「2020年刊『コロナ後の世界』の続編。新型コロナのパンデミックは2年を経ても収束しない。マスク着用、テレワークの普及、大人数での会食自粛など、日常の生活様式も一変した。コロナ禍は人類の歴史において何をもたらしたのか。現代の世界最高峰の知性7人に聞いた。」

 

第1章 デジタル独裁主義の悪夢を阻むには ユヴァル・ノア・ハラリ

    「虚構を信じる」という特殊な才能を持ったからこそ人類だけが生き残り繁栄を築けたという壮大な人類史を読み解いた『サピエンス全史』の著者は、コロナにより加速度的にデジタル独裁主義が現実化の一歩手前まで来てしまった、これに対しては国際的な協調の枠組みを築くことが重要であり、今回のコロナはそのことに目を向けるきっかけになった。

 

第2章 mRNAワクチンが切り拓く可能性 カタリン・カリコ

    ワクチン開発者として世界中に知られるようになったカリコ氏による、RNA研究をワクチンとして結実させ、オミクロン株のような変異種に対してmRNAワクチンが有利に働く可能性を語る。

 

第3章 生命とは何か? ウイルスとは何か? ポール・ナース

    酵母菌の細胞が分裂するメカニズムと周期を研究し、cdc2という遺伝子によって作られるたんぱく質キナーゼという酵素が細胞周期を進行させていることを解明した

ナース氏が、ウイルスの生物/非生物について語る。生物の基本原理としては、①外界との境界を持つ物理的存在である②化学的、物理的、情報的な機械である③自然淘汰を通じて進化する能力がある(繁殖能力、遺伝システム、ランダムな変異)の3つがある。

 

第4章 コロナ後の働き方はハイブリッドワーク リンダ・グラットン

    人生100年時代における新たな働き方の提唱者である彼女が、新しい生活規範について語り、今後どのようなライフスタイルを築き、働き方と人生の豊かさの関係について説く。“人生に満足して幸福に生きるために最も重要な要素はお金ではない、『温かい人間関係である』”

 

第5章 未来の都市は「第三の場所」を求める リチャード・フロリダ

    先進国ではクリエイティブ・クラスが増えており、彼等の集まる地域とそうでない地域の間で経済格差が拡大しているという新しい都市分析を提示した世界で最も有名な都市経済学者の彼は、第一の場所として住む場所、第二の場所として職場のほか、第三の場所として人と人がつながる場所こそが重要なスペースになる、中でもウィルネスとフィットネスに重点を置くことが新しいトレンド、と述べる。

 

第6章 GAFAの勝者アマゾンは医療を目指す スコット・ギャロウェイ

    GAFAの勝者がアマゾンであることを予想した彼は、今後アマゾンはリモート・ヘルスケア・プラットホームを築き上げ、「プライム・ヘルス」を実現すると予測する。

 

第7章 コロナ後の「Gゼロの世界」 イアン・ブレマー

    世界をリードする有力な国家が不在となった現代をGゼロという概念で解き明かし国際社会を不安定にするリスクだと喝破した彼は、日本こそが米中協調を促していく役割を担うべきであると主張する。