それから 夏目漱石

昭和23年11月30日発行 昭和43年1月30日38刷改版 昭和53年9月30日61刷

 

主人公代助は30にもなって職を持たず毎日本を読んだり散歩したりして、父の援助で生活している遊民。父に縁談を勧められるが、拒絶する。親友の平岡は銀行員だったが辞職を余儀なくされ東京に妻の三千代とともに戻る。再就職が決まった平岡だが以前の高利貸しの借金が残っていたため代助は三千代から金を貸してほしいと頼まれる。何とかしてやりたいと思うが個人で金を持っているわけでなく兄嫁の梅子に助けを求めて三千代に貸す。その梅子からそろそろ親のいうことを聞いて身を固めるよう説得されるが、代助は“自分には好いた女性がいる”と伝え、梅子は考え直すようにと諭す。しかし結局代助は父親の話を断り、三千代に対して、遂に“あなたが必要だ”“それをあなたに承知してもらいたい”と告白(この辺りから急に話が急展開していくと感じたのは私だけだろうか?)。三千代は迷った挙句、夫と離縁して代助と一緒になる覚悟を決める。父親の老けた様子や政略結婚を代助にさせようとした思惑を十分理解した代助だったが、三千代に告白した後はきっぱりと縁談を断る。が、父親は今後の援助をしないと告げたため、代助は働いた経験のない自分が三千代を幸せにできるのか不安を感じ始める。同時に三千代との関係を夫である平岡に話す覚悟を決め、話がしたいと手紙を出すが、返事が来ない。門野を使いにやると、三千代が病に倒れたことを知る。代助との関係を打ち明けられない三千代は神経をすり減らしていた。三千代は平岡に謝らなくてはならないことがある、代助から話を聞いてくれと頼む。代助は訪ねてきた平岡に全てを話し、三千代を譲ってくれと頼む。平岡は譲ることを了承するが、絶交することを告げる。平岡から手紙が届いた代助の実家は真偽を正すために兄に確認させるが、全て事実であることを認めた代助に対して、兄も代助を詰り絶縁を告げる。代助は仕事を探しに外に出る。代助の目には全てが真っ赤に見えていた。

 

不倫がいかに愚かで周囲に迷惑をかけ、勝手極まりないものであるかを責める兄の言葉は代助にぐさりと突き刺さったのではないか。父に抵抗して自らの意志を貫く代助の姿に個人主義を見出す読者もいるかもしれないが、やはり自分勝手という烙印は消えることはない。果たして代助は仕事を見つけて三千代と幸せに暮らしていけるのか。漱石は三千代との暮らしがその後どうなったか一行も触れることなく唐突にこの物語を終わらせているのはなぜなのか。恐らく色々解釈はあるだろうが、やはり後味が悪いのに変わりはない。