大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 池上彰/佐藤優

2015年10月20日第1刷発行

 

帯封「世界をその手につかまえろ!ビジネスに効く 人生に効く 爆読コンビ最強の挑戦」「ビジネスに効く池上・佐藤流『歴史』活用法5カ条・世界史を学ぶことは自分を知ること・ビジネスマンはまず『社史』を読め・教科書は第一学習社の『世界史A』がいい・戦争を知るには映画を観よ・『第二イスラム国』が誕生するこれだけの理由」

表紙裏「ベストセラー『新・戦争論』に続く、最強コンビによる第2弾! 各地でさまざまな紛争が勃発する現代は、まるで新たな世界大戦の前夜だ。激動の世界を読み解く鍵は『歴史』にこそある!」

 

目次

なぜ、いま、大世界史か

中東こそ大転換の震源

オスマン帝国の逆襲

習近平の中国は明王朝

ドイツ帝国の復活が問題だ

アメリカvs.ロシア」の地政学

「右」も「左」も沖縄を知らない

イスラム国」が核をもつ日

ウェストファリア条約から始まる

ビリギャルの世界史的意義

最強の世界史勉強法

 

・日本の政治家はイランがペルシャ人であることを知らない。

・これまでアラブ人といえばスンニ派だった。しかしイラクの現政権を実行支配しているのはシーア派アラブ人。

アラブの春以降、アラブ諸国が弱体化し始め、代わりに非アラブのイラン(ペルシャ)とトルコ(オスマン)が勢力を拡大しつつある。

・トルコのイスラム国攻撃は本気ではなくカモフラージュ。オスマン帝国の復興を目指しカリフになろうとしているエルドアンには注目しておく必要がある。

・かつて東トルキスタンと呼ばれた地帯で第二イスラム国誕生の可能性がある。

 

・中国は近代に収縮を余儀なくされ、いま再び明の時代に戻って膨張志向を強めている。

岩礁国連海洋法条約では島と認められていないのに中国はここに人工島を作り中国の島だと主張するがこれは国連海洋法条約に違反した行為。

・日本の沖ノ鳥島はチタン製ネットと鉄製の波消しブロックとコンクリート製の護岸で覆って波に洗われないようにして干潮時に水面上に顔を出して国連から島として認定されている。

・今の中国を理解するには明の帝国主義論で見るべき。

・歴史問題については日中韓でいかに違うかという対照表のような副読本を作ればよい。

・韓国の教科書はテロリスト史観に貫かれている。北朝鮮の教科書の方がまだ冷静。

アベノミクスによる円安は韓国から見れば為替ダンピング。為替ダンピングアメリカ、EU、イギリス、日本だけ行う能力がある。アベノミクスが失敗すれば関係改善する可能性がある。

 

ギリシャをヨーロッパと考えるのがそもそも間違い。ロシアとイギリスが人工国家として合作しただけで、ギリシャ語ともソクラテスプラトンアリストテレスも関係ない。ところが今のギリシャ人は近代になって作られた伝統を信じ込んでいる。

 

・サミットルールでは自国の首脳の発言しか紹介できない。

・エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史』は第一次大戦開戦の1914年からソ連崩壊の1991年までを短い20世紀と呼んでいる。ソ連の世紀ではなくドイツの世紀だとしている。二つともドイツを巡る戦争で封じ込めることが出来ずに終わったとみている。

 

国際連合と訳されているが、外務省による意図的語訳。「聯合国」が本来。戦勝国クラブのようなもので、敵国条項は現存するため、日本やドイツは敵国のまま。

 

・ビリギャルが日本の教育に突き付けている問題は大きい。入学歴がつくだけで教養が身につかないまま卒業するのでは国は強くならない。

・エリート層のナルシスト化現象が世界的傾向として起きている。それが排外主義に結びつく。

・ちまたに増えつつある陰謀論反知性主義は自分たちの欲するように世界を理解する体位度であり、危険。

・かくて神風は吹く、アフガン、ディズニーのパールハーバーなどの映画で歴史を勉強するのもよい。

歴史小説で専門知識を身につけようとするな。

 

サーと読める。但し私自身の中東の知識不足は否めない。この分野を補強する必要がある。