昭和史入門《下》 保阪正康

2020年11月20日発行

 

目次

第4章 経済大国の表と裏の構図 昭和後期

第5章 昭和を語り継ぐ精神

あとがき(結語にかえて)

(付)「昭和史入門」のための読書案内

 

・昭和後期を①昭和35年6月までの政治主導時代②昭和48年10月の田中角栄内閣時の石油ショックまでの高度経済成長期③昭和57年11月の中曽根康弘内閣誕生までの田中主導時代④昭和64年1月7日までの経済大国と戦後見直しの時代に4区分する。

昭和天皇独白録から大日本帝国天皇がほとんど統治能力を持たぬ国家になっていた、辛うじて天皇が持っていた権限によって終戦が可能であったということになる。こうした天皇の証言が明るみに出ることにより客観的に昭和史を語ることができるようになった。

田中角栄を括り出して、昭和という時代がつくりだした首相の、その政治家としての生命力が昭和とともに終焉を迎えたところに、歴史そのものが意思をもっているといいたくなる。

岩村忍の『歴史とは何か』にある「その解答を未来に求めれば、宗教や哲学になり、過去に求めれば歴史になる」との指摘こそ、自分はどこからきてどこへ行くのかという問いへの答えとして納得できるのではないか、という。

 

後半は、はやり平板のそしりを免れ得ないような気がする。深みがないのと、著者独自の感性が少し露骨過ぎて、一般論足り得るのかな、という気がする。