大空に夢を求めて 私の履歴書  大橋洋治(ANAホールディングス相談役)

2020年1月6日第1刷

 

帯封「あんしん あったか あかるく元気!安全で安心で温かく、そして明るい空の旅。そのことだけに心を砕いてきた半生を語る。」「シルクロードは、ご存知のとおり、絹、香辛料、珍しい産物など物を運ぶ交易路であるのだが、シルクロードが生み出したのは単なる交易ではない。この交易を通じて、人と人が出会い、交流する。西洋と東洋の文化が出会い、融合し、新しい文化、価値を生み出す。(中略)私の夢は、『ANAで空のシルクロード』を作ることだ。日本から、中国・中央アジアを経て、中東、ヨーロッパへと空のシルクロードを結ぶ。人と人、文化と文化が融合し、新しいものが生まれる。ANAとしてそのお手伝いができれば素晴らしいことだ。(本文より)」

 

目次 :

第1章 満州からの引き揚げ

満州生まれ/ 父、母、そして帰国/ 郷里・岡山県/ 学生時代/ 慶応義塾大学と恩師

第2章 航空会社に勤める

全日空入社/ 新人時代/羽田沖事故/ 結婚/ ロッキード事件/教訓

第3章 仕事に追われる日々

国際線就航/ 宣伝販促部長時代/ 成田空港/ ニューヨーク勤務/ 社内抗争

第4章 ANAの舵を取る

後継指名/ 社長就任/ 社内改革/ 復配宣言/ バトンタッチ/財界活動

第5章 夢は追い続けてこそ

死線迷走/ B787とMRJ/JAL破綻/ LCC戦略/沖縄への思い/ ホールディングス体制移行/ 空のシルクロード

あとがき

 

・成田空港が完成した当時、成田空港はJALの牙城で、ANAとの間に大変な格差があったとか、ANAの国際部門が17年連続で赤字だったとかいうのは知らなかった。またJALJASの統合により、ANAが苦戦を強いられたというのも知らなかった。ロッキード事件に巻き込まれてANAが倒産寸前に陥ったとか、最終的に若狭さんが外国為替管理法違反と議院証言法違反の2つで懲役3年、執行猶予5年だったというのもきちんと理解していなかった(裏返せば、若狭さんに収賄罪が認められたわけではなかった。ロッキード事件の関係者は、皆、収賄罪に問われていたと思っていた)。全日空羽田沖墜落事故やANAのお家騒動も当時はニュースになって耳にしていたんだろうと思うが、余り記憶に残っていなかった。

・稲盛イズムが浸透したJALは昔のJALではない、ハングリー精神に満ち溢れていた昔のANAの空気が流れている、とライバル会社のANAの元社長が言うのだから、JALのV字回復は本当なのだろう。

・最後は、著者の好きなサミュエル・ウルマンの「青春とは、人生のある期間ではなく心の持ち方を言う」という詩の一節が紹介されている。80歳の著者は、いまだ「青春」である。と結んでいる。