2023年1月21日第1版第1刷発行
鼠でなくては上がり降りが出来ないと云われる急な坂道・鼠坂の上に、満州で金を大儲けした深渕という人が立派な屋敷を建てた。ここに支那語の通訳をしていた平山と、新聞記者をしていた小川が客として招かれ、主人と女房と女中がもてなした。主人は満州で起きたある出来事を微に入り細を穿つように話をした。それは小川がある時満州で用を足した時に女を意のままにした挙句、女を殺してしまったという話だった。今日がその女の七回忌だと深渕がいうと、小川が倒れた。翌日の新聞に小川が脳溢血で深渕氏邸で亡くなったという記事が出た。
祟り・怪談の類のようだ。でもなんで深渕は小川の満州での犯行を見て来たように詳しく話が出来たのだろう?謎である。