令和3年7月1日発行 令和3年12月25日5刷
帯封「この物語は『みんなの物語』読者に支えられてシリーズ累計100万部突破! 親子で読みたい『一生モノ』の課題図書」
裏表紙「人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。まるで
世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友だちなんだ。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗りこえていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー」
イギリスで保育士として働いていた福岡出身の日本人女性が、アイルランド人で大型ダンプの運転手の男性との間にもうけた息子が主人公(日本で言えば中1)が、自分や家族や友だちにまつわる人種差別やアイデンティティの問題に悩み、母親と交わす言葉が大変勉強になる。日本でこんなにクレバーな中1はいないんじゃないだろうか。以下は、その主人公の言葉。筆者の実体験を書いた私小説のように思う。
「分断とは、そのどれか一つ(東欧人の血を引いている子や、何代か遡ればインド系の先祖もいる子、アイルランド人の子、裕福な家の子、そうでもない家の子、両親揃っている子、シングルマザーやシングルファザーの子)を他者の見にまとわせ、自分のほうが上にいるのだと思えるアイデンティティを選んで身にまとうときに起こるものなのかもしれない、と思った」
「英国の公立学校教育では、キーステージ3(7年生から9年生)からシティズンシップ・エデュケーション・・の導入が義務づけられている」「政治や社会の問題を批評的に探究し、エビデンスを見きわめ、ディベートし、根拠ある主張を行うためのスキルと知識を生徒たちに授ける授業でなくてはならない」(期末試験の最初の問題は、エンパシーとは何か、次は子どもの権利を3つ挙げよだったので、最初の問題には)「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた」「教育を受ける権利、保護される権利、声を聞いてもらう権利。まだほかにもあるよ。遊ぶ権利とか、経済的に搾取されない権利とか。国連の児童の権利に関する条約で制定されているんだよね」
「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。・・・罰するのが好きなんだ」