DNA鑑定 犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで 梅津和夫

2019年9月20日第1刷発行

 

帯封「塩基はすべて知っている ☆個人識別力は『4兆7000億分の1』 ☆それでも科捜研が抱える決定的な『弱点』とは? ☆今『縄文人のDNA』を最も多くもつ人たちは? ☆絶滅魚は本当に『復活』したのか?」「世の中にはDNA鑑定の本が少なからず出回っているが、『入門書』といえども大学で学ぶ人向けに小むずかしく書かれているものが多い。本書はそれらとは一線を画し、私自身が遊び心で取り組んできた研究を紹介しながら、現代科学のひとつの集積であるDNAを読む楽しさを伝える、本当の意味での『DNA鑑定の入門書』をめざした。本道だけでなく脇道やけものみちにもそれる、筆者に似てかなり気まぐれな本になってしまったが、読んでいただいたみなさんにDNA鑑定を通して、生命のたどった奇跡と神秘を垣間見て頂けたら幸いである。(本書『はじめに』より)」

裏表紙「なんでも鑑定してきたからわかる、DNA鑑定の真実! 圧倒的な識別能力をもつDNA鑑定に魅せられて、戦没者の遺骨から自身の排泄物まで、あらゆるものを鑑定してきた著者がやさしく解き明かす、現代人が知っておくべき『教養』としてのDNA鑑定。それは時空を超えて生命の神秘を知る『扉』でもある。難事件・珍事件の解決録、縄文人誕生をめぐる『新説』、新種発見物語、ドラマではわからない科捜研の実情などを読むうちに、DNA鑑定の『通』になれる本。」

 

DNAには2種類ある

  • 細胞の「核」の中の染色体にある、二重螺旋の構造をもつ「核DNA」

常染色体のDNAと性染色体のDNA(男性ならXY,女性ならXX)に分けられる

これを調べることで母親を同じくする兄弟かどうかなどを立証できる

 

遺伝子、DNA、染色体、ゲノムの概念の違いがようやく理解できた(71頁の図解は俊逸)

 

MCT118 (科警研が科学捜査に導入。現在は用いられなくなった。過去に冤罪事件を生む)

足利事件で冤罪であったことが最終的に判明した菅谷利和さんの事件で警察が採用した個人識別法がこのMCT118だった。飯塚事件でもMCT118法によるDNA鑑定の結果、被疑者に死刑判決が下り、菅谷さんのDNA再鑑定決定報道の11日後に刑が執行されたという。MCT118法による鑑定は141件あり有罪とされた被告は8人。この中に冤罪があったとすれば取返しがつかない。

現在はSTR判定法(商品名アイデンティファイラ―。2019年よりグローバルファイラーが導入)によりDNA鑑定が行われている。筆者はミトコンドリアDNAの鑑定も許すべきであると主張する。そりゃそうだろうなあと思う。なぜ警察はこれを採用しないのだろうか?