2018年7月10日第1刷発行
帯封「初めて明かされる、もう一つのヒロシマ。供養の守り人と、そこで眠る死者たちの物語 日本人必読の名著 大宅賞、早稲田ジャーナリズム大賞受賞作」「『知ってしまった人間として、知らんふりはできんのよ』供養塔の守り人・佐伯敏子の言葉を胸に取材を丹念に重ねるうちに、埋もれていた重大な新事実が判明していく─。引き取り手なき遺骨の謎を追うノンフィクション。」
裏表紙「広島平和記念公園の片隅に、土饅頭と呼ばれる原爆供養塔がある。かつて、いつも黒い服を着て清掃する佐伯敏子の姿があった。なぜ、佐伯は供養塔の守り人となったのか。また、供養塔にまつられている被爆者の遺骨は名前や住所が判明していながら、なぜ無縁仏なのか。もう一つのヒロシマの物語。大宅賞受賞作。 解説・平松洋子」
著者:1969年広島県生まれ。ノンフィクション作家。『死刑の基準ー「永山裁判」が遺したもの』で第32講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命ー死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫ー封印された鑑定記録』で第4回いける本大賞、『教誨師』で第1回城山三郎賞、本作で第47回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。広島の原爆をテーマにした著書に、『チンチン電車と女学生-1945年8月6日・ヒロシマ』(小笠原信之との共著)、『戦禍に生きた演劇人たちー演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇』(第23回AICT演劇評論賞受賞)がある。」
目次
第一章 慰霊の場
第二章 佐伯敏子の足跡
第三章 運命の日
第四章 原爆供養塔とともに
第五章 残された遺骨
第六章 納骨名簿の謎
第七章 二つの名前
第八章 生きていた〝死者″
第九章 魂は故郷に
本書で、初めて原爆供養塔の存在を知り、供養塔の守り人としての佐伯敏子さんという女性を知った。また著者がジャーナリストの中島竜美さん、元教諭の竹内良男さんから提供を受けた資料を頼りに取材を進め、供養塔を維持管理する広島市の保険年金課(現在は原爆被害対策部調査課)の課長を務めた田口晴久さんら、大勢の方に取材して、本書は出来上がっている。中でも、原爆文献を読む会というボランティアのような団体が今も活動していること、そこにお知り合いの方がいることを知って大変驚いた。このような活動をされているとはついぞ知らなかった。本当にまだまだ私は何も知らないのだなとつくづくと感じた。