川あかり3⃣ 葉室麟

2015年2月1日第1刷発行

 

美祢は七十郎に、若侍達が煽動されたことに気付いて煽動した儒学者を襲い、その際、儒学者を匿った者の家族を間違って傷付けてしまった、ついては若侍達を助けるためには美祢を七十郎の妻になるしかなくそうして貰わねば帰られぬと言ってきた。そこに伝助が出雲屋を連れて現れた。出雲屋は佐次右衛門を破産させた張本人だった。出雲屋は盗まれた仏像を取り返しに来た。しかし七十郎は咄嗟の機転を利かせて仏像の由緒書を出せねば本当の持主とは認められないとして出雲屋を追い返した。その姿を間近で見ていた美祢もおさとも七十郎を見直した。おさとは七十郎に川明かりの言葉の意味を語った。周りにいる自分たちを助けてくれる人こそ、どんな職業の人であれ川明かりとなり、心を温かくしてくれると。川止めが解かれ、6人の護衛を引き連れて甘利典膳が渡って来た。七十郎は役目を果たそうとして典膳と対峙するが、得意の武器を置いてきたこともあって、縮み上がりかえって寝返りを希うと勘違いされる始末。そこに豪右衛門一味が現れ、一芝居を討った。護衛が皆そちらに向かい、七十郎が一対一で典膳と対峙し、油断した典膳を討ち果たした。護衛がそれに気付き七十郎を討とうとすると豪右衛門一味が命がけで七十郎を救おうとする。そこに側用人倉田文左衛門が現れ、七十郎は上意を果たしただけであり、七十郎を斬ってはならぬと沙汰した。七十郎は得難きものを得た。友であり、友情だった。