「改造問題と明治時代の省察」『嘘の効用』末広厳太郎

論者は、急遽西洋文明の足跡を追随した明治時代は功利主義的であり、「小知恵専制」の時代であったとする。
その上で、「しかし、たえず最大の努力をもって突き進みつつ、しかもその理解しえざるもの説明しえざるもののすべてを否定し去る権利が、どうして我々にあるのか?「思索する人の最も美しき幸福は探求せられうるものを探求することであり、そうして探求しえられないものを静かに尊敬することである」というゲーテの言葉はわれわれにとって永遠の価値ある教えでなければならない」という。素晴らしい言葉だと思う。今から100年近く前の論文だが、このような洞察鋭い法学者がいたという事に感嘆する。