手塚治虫 未来へのことば 昔の子ども・今の子ども・そしてこれからの子どもへ 手塚治虫

帯封「今よみがえる『マンガの神様』ことばのバトン」「子どもの求める本質的なものは時代を超越して同じだと思います。それは未来への探求心ち得た者に対する驚異です。」

表紙裏「手塚治虫の希望のことば

〇没後20年近くたっても、いまなおマンガ界のみならず社会的に大きな存在である手塚治虫。遺した著書、雑誌への寄稿、対談、発現などから、伝えたかった『ことば』を10のテーマに整理。

〇仕事の情熱、ユーモアの追求、マンガ表現について、子どもたちへの愛、戦争への怒り、社会の洞察、生と死に関して、など。手塚マンガで育った世代だけでなく、若い世代にも読んでほしい。」

 

絵を文字にするのが小説

絵を絵にするのがイラスト

文字を絵にするのが漫画

文字を文字にするのが評論

 

“正義”の名のものに、国家権力によって

人々の上に振り下ろされた凶刃を

ぼくの目の黒いうちに記録しておきたい

と願って描いたのが『アドルフに告ぐ』なのです

 

映画が好きだ

特に

ディズニー作品には熱心で

「バンビ」など

“映画館の中でパンを噛りつつ

1日5回連続”

を最高に合計80回みたし

「白雪姫」は50回だ

 

ぼくはむかし、1年に365本、映画を観ることにきめていた。

そしてそれを十数年も変えずに続けていたのだ。

〔仲間から『飲もうよ』と誘われても〕

―映画より飲んでばかりいて、何が青春だ。勝手にしやがれ

そんな気持ちでぼくは孤独に映画館へ通い続けた。

三十過ぎても、毎日がせわしいぼくには恋人ができなかった。

元旦は、ご存じの通り、盛り場の店はほとんどしまっていて、

映画館だけ興行している。

元旦にひとりぼっちで朝から映画に通う三十男が居ますか?

ぼくである。たしかに、ぼくはわれながら変人だと思う。

 

漫画家になるのだったら

漫画を読むよりも

名作を読むまり

いい映画をいっぱい見るなり

いい音楽をたくさん聞きなさい

 

若い頃に

何でもかんでも

知識は

溜めとくもんだ

 

マンガ家の選んだ良書十冊

「楡家の人びと」』北杜夫

おろしや国酔夢譚井上靖

「野火」大岡昇平

「ながい坂」山本周五郎

老人と海ヘミングウェイ

火星年代記レイ・ブラッドベリ

星の王子さまサン・テグジュペリ

チャップリン自伝」チャップリン

阿Q正伝魯迅

カラマーゾフの兄弟」ドフトエスキー

 

これらの〔いわゆる名著とされる〕本は

つとめて若いころに読破すべきであって、

四十の峠を越したころでは

感動も印象も弱く、

記憶に残らない。

現在、まず内容を思いだせる文学なんかは、

みんな学生時代に読んだものばかりである。

 

ぼくらは欲望のままに、

物質の豊かさを求めて、

わき目もふらず、

突っ走ってきたが、

いまが

ここらで立ち止まって、

周りを見渡す最後のチャンス

 

宇宙に飛び出して

地球をひとつの“個”として考える辞典になったら

今までとはまったく異なる思想を持った

若者が増えていくと思う

 

地球は今、息も絶え絶えの星になってしまいました

いったい、いつの間に

こんな事態に陥ってしまったのでしょうか

人類はどこで針路を誤ったのでしょう

でも信じたい

今度の人類こそきっと間違いに気が付いて

生命を

正しく使ってくれるようになるだろう

 

   地球の死から30億年。その後の生物の、出現死滅のくり返しを

   見てきた火の鳥が呟いた言葉。

 

含蓄ある言葉に溢れてました。さすがです。スゴイ人だったんですね。