2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

少年と犬 馳星周

第163回直木賞受賞。これで直木賞かあ、というのが率直な感想。 「多聞」に意味が何かあるのかな。犬って賢いなあ。最初の「男と犬」が入りやすかったかなあ。というような感じです。

尾崎翠 ちくま日本文学004 1896-1971

新嫉妬価値 「彼と私は一つ肉体の中に一緒に棲んでいる」 匂い これは匂いで、林檎そのものではありません。匂いは林檎が舌を縛るほど鼻を縛りません。だから私の舌の上の林檎より、鼻孔のあたりを散歩している林檎の方が好きです。 詩 神々に捧ぐる詩 ネッ…

和解 志賀直哉

私小説と思われる。安岡正太郎の解説では「実人生の経験をアリノママにたどったというような簡単なものでは有り得ない」とあった。読み終わった後に、東京大学文学部研究会公式ブログに「志賀直哉『和解』読書会が掲載されており、そもそも不和の原因が書い…

落日燃ゆ 城山三郎

毎日出版文化賞、吉川英治文学賞受賞作。 裏表紙 東京裁判で絞首刑を宣告された7人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちとと共に処刑されるという運命に直面させられた広…

AX アックス 伊坂幸太郎

令和2年2月25日初版発行 令和2年8月5日8版発行 帯封に「2020年上半期ベストセラー3冠達成!オリコン上半期文庫ランキング2020、日販調べ(文庫部門)、トーハン調べ(文庫総合)第1位 累計50万部突破!」につられて購入。 久しぶりの伊坂ワールド。AX BEE Crayon EXIT F…

日経文庫 VISUAL(ビジュアル) 職場と仕事の法則図鑑 堀公俊 

2020年7月15日1刷1刷 第1章 心理・感情の法則 1 アンダーマイニング効果 (「内発的動機づけ」の人に「概括的動機づけ」は かえってマイナスになる) 2 マズローの法則 生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→自尊欲求→自己実現欲求 3 目標の欲求勾配仮設(あ…

宮沢賢治 1896-1933 ちくま日本文学003

「革トランク」 どうやら肥大化した虚栄心を、革トランクは表現しているらしい。 帰京を繰り返していた、賢治の自虐的なネタとも言われているらしい。 「セロ弾きのゴーシュ」 楽長に厳しく叱られたゴーシュが、その日の夜中から次々に現れる動物に毎晩のよ…

脳科学からみた「祈り」中野信子

第1章 脳に与える祈りの影響 第2章 脳科学からみた幸福な人、不幸な人 以下、キーワードを列挙すると。 怒り・妬み・恐れ・不安 コルチゾール(ストレス物質) 海馬を委縮させる ちなみに海馬は「展望的記憶」もコントロールしている ポジティブな祈り、利…

100分de名著 戦争論  ロジェ・カイヨワ 西谷修

戦争の本質は、そのもろもろの性格は、戦争のもたらすいろいろな結果は、またその歴史上の役割は、戦争というものが単なる武力闘争ではなく、破壊のための組織的企てであるということを、心に留めておいてこそ、はじめて理解することができる(第1部・第1章…

論語の力 緑川浩司

対談1 徐 坰遙 (ソ キョンヨ) 儒学文化研究所所長/韓国成均館大学校名誉教授 論語の力ー昌平黌の新生 第1章 現代社会で論語を学ぶ意義 第2章 孔子祭の沿革と意義ー校章の意味と「知行合一」 ”いわき”の音をとり、漢字の”以和貴(いわき)”を当てたとも…

100分de名著 善の研究  西田幾多郎 若松英輔

はじめに 「善の研究」の出現によって、西洋哲学に引けをとることのない哲学的探究の場が日本に開かれた(8p)。 第1回 生きることの「問い」 第4編「宗教」→第3編「善」→第2編「実在」→第1編「純粋経験」の順で読み解いてみたい(28p)。 第4編の「付…

50代からの人生戦略 いまある武器をどう生かすか 佐藤優

2020年1月15日第1刷 2020年2月1日第2刷 進化生物学者のリチャード・ドーキンスの著書『利己的な遺伝子』の中で著者は人の脳から脳へとコピーされる”文化的な要因”があるのではないか(遺伝子を複製して増やそうという利己的な本能より、それを抑える文化的な…

内田百閒(ひゃっけん)1889-1971 ちくま日本文学001

花火 非現実的な女に誘われて怪しい世界に入り込む。なんだか不思議な世界。 井原西鶴「紫女」? 山東京伝 蟻の世界?漱石の門下となった百閒の何かの屈折した感情? 件 半分牛で半分人間になって3人目に死んでしまうというお話。 宇宙人の私小説 赤瀬川原平…

100分de名著 力なき者たちの力 ヴァーツラフ.ハヴェル 阿部賢一

不条理演劇の戯曲家は、なぜ制度を疑い、言葉で民衆を導くことができたのか。1978年に執筆され、各国で翻訳されてきた民主化運動不朽のバイブルを読む。1989年、ビロード革命を率いて民主化を成し遂げ、チェコスロバキア共和国大統領に就任(在任89~92)。さら…

からだと心を診る 診療内科からの47の物語 関西医科大学教授 中井吉英

春、夏、秋、冬の、4章にわけての、筆者の経験的エッセイ。目が見えなくなった患者さんが、見えなくなったがゆえに見えるものがあるという展開は、普段健常者がいかに何も見えていないかを教えてくれた。

流浪の月 凪良ゆう

2020年本屋大賞受賞 周りの事実と本人達の真実は時に異なる。そのために誰にも言えず理解されることもなく苦しむことがある。されでもひとりでなければ生きていける。ネットの時代は、そんなことが周りに、意外と溢れているのかもしれない。ある程度予期でき…

中高年のための「読む防災」一度読んでおけば一生安心! 和田隆昌

ファイブゼロジャパン00000JAPAN 災害発生時に無料Wifiが開放されるらしい。これへは知らなかった。

知っていると役立つ「東洋思想」の授業 熊谷充晃

イントロダクション 東洋思想の”源流”が生み出された背景 ー「諸子百家」と春秋戦国時代ー 1時間目 孔子に学ぶ「論語」の教え 其れ恕か。己の欲せざる所は、人に施すなかれ。 2時間目 孟子に学ぶ「性善説」の教え 惻隠の心(人を慮る心の動き)は仁の端なり…

100分de名著 Momo  ミヒャエル・エンデ 河合俊雄

73年に発表されたファンタジー作品。76年に邦訳が出版され、現在までに累計発行部数が341万部を超える人気を獲得。 何をどう整理したらいいのだろう。 第1回 相手の話を聞く これがキーワードかな。 第2回 ずばり「時間を奪う『灰色の男たち』」 時間泥棒…

55歳からの時間管理術「折り返し後」の生き方のコツ 齋藤孝

2019年6月20日第2刷発行 ドイツの哲学者、マルティン・ハイデガーは『存在と時間』の中で、我々は運命に不意打ちされる、つまり死というものに突然襲われるものだと書いています。ハイデガーは、死がいずれ訪れることを自覚して、今をきちんと生きることが人…

論及ジュリストNo33 spring2020 特集「憲法、現下の論点」

江藤祥平「個人として尊重される」とはどういうことか -欲望とエロティシズムの様相 小島慎司「民主政下の専門職能」 文化的現象(学問、文学、芸術)について、自律的な専門職能を観念することにいかなる意味があるのかを考察するものである。 Ⅰ.トクヴィ…

世界 2020年9月号 「主要各国の新型コロナウイルス対策」 千原則和

アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、イギリス、スペイン、イタリア、ドイツ、中国の対策を概説した上で、「主要先進国および新興国の直接給付および所得保障政策の動向を整理して明らかになったことは、第1に、日本のように所得制限のない一律の現金給付…

100分de名著 夏目漱石スペシャル 西洋小説の形式と格闘した四作 「三四郎」「夢十夜」「道草」「明暗」 阿部正彦

第1回 『三四郎』と歩行のゆくえ 成長物語としての『三四郎』 第2回 『夢十夜』と不安な眼 小説のルールから外れる『夢十夜』 第3回 『道草』とお腹の具合 『道草』はB級なのか? 第4回 『明暗』の「奥」にあるもの スパイ小説『明暗』 漱石と芥川龍之介…

科学と社会 科学者の社会的責任 都留重人 岩波ブックレットNo.622

2004年5月7日第1刷発行 一橋大学学長(72年―75年) はしがき 第1章 科学の成果 第2章 「社会」から「科学」へ ー外生要因の影響 軍事面からの外生要因 企業営利面からの外生要因 第3章 科学の新しい成果 ーそのプラスとマイナス 第4章 「科学」から「社…

ウイルスと内向の時代 コロナ後の大転換を 国家と個人はどう生き残るか 佐藤優

2020年6月30日 中国の取り扱いが門田隆将の書籍と正反対である。反対の見方を学ぶ重要性をつくづく痛感する。 一つにはロシアの1月28日「スプートニク」日本語版に掲載された公衆衛生の専門家でもあるゲンナジー・オニシェンコ国会院(下院)議員へのインタ…

宗教改革者 教養講座「日蓮とルター」 佐藤優

2020年5月10日初版発行 ・・ところで、ここまで読んできたこのルターの考え方は、先ほど読んだ日蓮の『立正安国論』と、考えている方向性が近いように思われませんか。両者とも徹底的に彼岸的で、いまの現実は悪がかなりはびこっている。そこから脱構築しな…

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 渋澤健

2020年5月30日第1刷発行 SDGsの存在意義は、”ムーンショット”にあります。ムーンショットとは、「壮大な課題解決への飛躍」を意味する言葉です。「できる」「できない」ということが判断材料になっていなく、「やりたい」「実現させたい」という未来の時点…

現代戦争論 -超「超限戦」これが21世紀の戦いだ 渡部悦和(元陸将)佐々木孝博(元海将補) 

2020年8月5日初版発行 はじめに 『超限戦』が民主主義諸国の人々、とくに軍人にとって衝撃だったのは、『超限戦』の本質が「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる可能な手段を採用して目的を達成する」ことを徹底的に主張するからです。民…