2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ 細谷功

2014年12月7日第1刷発行 2019年2月1日第11刷発行 帯封に「永遠に噛み合わない議論、罵り合う人と人。その根底にある「具体=わかりやすさ」の弊害と「抽象=知性」の危機。具体と抽象の往復作業で見えてくる対立の構造と知性のありようとは?」、「『具体=…

かもめ アントン・チェーホフ 内田健介/訳

2022年3月30日初版第1刷発行 巻末の訳者「『かもめ』の誕生から初演の失敗まで」によると、1896年11月17日夜8時、初上演された。しかし、喧噪の中で幕が下ろされるほどの大失敗。翌日の新聞各紙は「眩暈のするような失敗、ショッキングなしくじり」と書き立…

北東アジア市民圏構想  佐藤優×金惠京

2018 年 10 月 15 日初版第 1 刷発行 帯封に「日本 韓国 北朝鮮 中国 ロシア 揺れる北東アジアをめぐる諸問題を 作家・佐藤優氏と国際法学者・金惠京氏が語り合う 地球を包む 未来への対話。分断は悪、結合は善」「主な内容 1章 北東アジアのデモクラシー革…

小林秀雄 全作品 13(1940-1941) 歴史と文学

2003 年 10 月 10 日発行 文学と自分 文学者の覚悟とは、かくあるものか!と、学ばざるを得なかった。 「文学者は、思想を行う人ではなく、思想を語る人だ」、覚悟については「覚悟するかしないか二つに一つという簡明な切実なものである」、「文学に志す人…

子母澤寛全集第23巻 花の兄弟 大道

昭和49年9月4日 大道 子母澤寛は厚田村出身。大道書房から「大道」を昭和15年5月に出版。 土佐の執政・野中兼山は土佐南学の流れをくむ学者であったが、17歳の時から奉行職をつとめ、藩財政のたて直しのために生涯を費やす。30年間、全権を委任されて土佐藩…

孤独な群衆〈上〉デイビィッド・リースマン 加藤秀俊/訳

2013年2月21日発行 ルイス・ブランダイスの秘書。 帯封に「読み継がれて50年」、「『社会の諸制度が個人のなかに、その社会にふさわしい性格をうえつけてゆく』個人と社会、時代との関わりを論じた普及の名著、改訂訳版で登場。初版(1950年)から20年後に書…

中国vsアメリカ 宿命の対決と日本の選択 橋爪大三郎

2020年12月30日初版発行 裏表紙の裏に「米中対決の時代がやってきた。歴史の針はもはや逆回しにはできない。これは米ソ冷戦とはまた違った、世界史の大事件である。年々存在感を増していく中国―私たちは何をどう考えればよいのか。中国共産党という不思議な…

人類の進歩につくした人々 吉田甲子太郎(その2)

昭和31年9月20日発行 民主主義の父・リンカーンーエブラハム・リンカーン 南北に分断しかねない危急存亡の時に大統領に就任したリンカーンは、7人の閣僚のうち共和党から3人、後の4人は反対党の民主党から選んでいる。しかも共和党から出た閣僚はリンカーン…

人類の進歩につくした人々 吉田甲子太郎

昭和31年9月20日発行 ルネサンスの万能天才―レオナルド・ダ・ヴィンチ 勝見勝 デビュー作は「キリストの洗礼」の中の天子の顔。師匠ヴェロッキオ先生より出来が良いと言われて、レオナルドの評判は鰻登り。フィレンツェを離れてミラノでレオナルドは多筒式鉄…

三国志 羅貫中 駒田信二/訳

2011年3月17日第1刷発行 表紙裏に「著者の蘿貫中は14世紀半ば、元代から明代にかけて生きた人で、元代を代表する文学形式である戯曲の作家の一人である。『三国志』劇が演劇の世界でも当時すでに大いにもてはやされていたことは、今日題名のみ残るものを含め…

人生の教養が身につく名言集 The Inspirrational Qoutes on Windom of Life 出口治明

2016年7月25日第1刷発行 名言集に掲載された名言自体、それなりに勉強になるが、著者独自の切り口で表現された言葉は更に興味深かった。 著者は「過ぎてかえらぬ不幸を悔やむのは、さらに不幸を招く近道だ」(ウィリアム・シェイクスピア『オセロ』)を挙げ…

記録をうちたてた人々 クーベルタン・ソープ・ヌルミ・織田幹雄・人見絹江・オーエンス・クン夫人・ザトベック 鈴木良徳著

昭和40年10月第1刷発行 昭和60年6月第21刷発行 クーベルタン オリンピックの父と呼ばれるクーベルタン。フランスがイギリスやドイツに負けた原因が青少年の教育の違いにあると考えて、フランスにもイギリス人学生のスポーツ・クラブを作ろうとし、オピンピア…

エマソン選集7 たましいの記録 小泉一郎/訳

昭和36年8月1日初版発行 昭和44年3月1日3刷発行 兄弟の中で最も凡庸とみられたエマソンが、劣等感や病弱などの不幸を克服して、絶対的な自己信頼を強調する立場までいたった刻々の歩みを辿る 以下は、本書の中からの、私が気に留めた箇所の抜粋である。 1984…

心に太陽を持て 山本有三編著者

昭和31年4月20日発行 昭和35年3月10日5刷 くちびるに歌を持て 沈没した船の大勢の乗客が冷たい海の中で希望を持ち続けることが出来たのは、同じように溺れていた一人の女性の美しい歌声を聞き続けていたからだ。救助にやって来た人達もこの声で救出活動が上…

ギリシア神話 アポロドーロスほか 高津春繁・久美子訳(その3)

2010年10月14日第1刷発行 諸国の物語 ギリシア名アテナのラテン名はミネルバ、アプロディテはビーナス、アレスはマルス。ギリシア名とラテン名で名まえが違う神さまの一覧が冒頭に掲げられている。 へびの恩がえしーメラムブスの予言 ピュロスに住む大勢の召…

ギリシア神話 アポロドーロスほか 高津春繁・久美子訳(その2)

2010年10月14日第1刷発行 英雄物語 アルゴー号のお話、 イルオコスの王をつぐはずだったイアソンの父は弟にその地位を奪われる。イアソンが若者に育ち弟の前に現れると、弟から金のひつじの皮を持ってくるよう命じられ、コルキスにアルゴー号で渡る。コルキ…

命がけの証言 清水ともみ+楊海英

2021年1月30日初版発行 2021年2月22日第3刷 表紙裏に「ナチス『アウシュビッツ』に匹敵する中国共産党の蛮行は許されない 文化的な脅迫・ジェノサイドで骨抜きにされるウイグル 『臓器移植先進国』の背後にある闇を見ない日本のメディア 中国や北朝鮮の人権…

ギリシア神話 アポロドーロスほか 高津春繁・久美子訳

2010年10月14日第1刷発行 巻末の訳者解説には、西洋の文化を知ろうとすれば、ギリシャ神話は「聖書」とならんで欠かすことができない、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」の中の寸劇は、本書に収めた「ピュラモスとティスベ」の話が用いられているほか、ドビ…

クオレ物語 アミーチス作 塚原健三郎編者

昭和39年6月25日第1刷 昭和60年11月30日第30刷 小さな愛国者 イタリア生まれの少年が、ジェノバ行きのフランス船に乗り込み、そこで大人たちからお金を恵んでもらって、食べる物にも困っていたので、たいそう喜んでいたのだが、お金をくれた大人たちがイタリ…

現代語で読む たけくらべ 樋口一葉(現代語訳 山口照美)

2012年8月初版第1刷発行 巻末の現代語訳をした山口照美によれば、「背比べをして一緒に遊んでいた子ども達が、少し大人になって進路が分かれていく過程を読みとる面白さがあります」、「自分の体が『女』であると自覚して、恥ずかしさに混乱する美登利。『…

新訂 海舟座談 巌本善治編 勝部真長校長

1983年2月16日第1刷発行 1989年6月15日第13刷発行 表紙に「卓越した政治手腕をもって崩壊直前の徳川幕府に重きをなし、維新後は海軍卿、枢密顧問官として明治政府に参与した勝海舟が、その50年に及ぶ政治生活をふりかえって語る幕末明治の体験談。歴史的証言…

エマソン選集6 代表的人間像 酒本雅之/訳

昭和38年2月5日初版発行 昭和44年2月15日5刷発行 人間である限り可能性としては誰でもがすべて偉人なのだと説く本巻は、人間に宿る魂の現れ方をそれぞれに代表する6人の偉人により論じている。 第1章 哲学に生きる人 -プラトン プラトンは、その時代の学問…

燃えよ剣(下) 司馬遼太郎

昭和 47 年 6 月 15 日発行 平成 19 年 1 月 20 日 92 刷改版 表紙裏に「元治元年 6 月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新鮮組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩…

現代語で読む 生まれ出づる悩み 有島武郎 (現代語訳 高木敏光)

2013年2月初版第1刷発行 表紙裏には「かつて、自分の描いた絵を見てほしいと言って、ぼくを訪ねてきた若者がいた。やがて彼は北海道で漁師になる。画家の志と、現実の暮らしの間に生じる青年の深い悩みを、ぼくは想像する」とある。 訳者の解説には、本書の…

あのころ さくらももこ

2004年3月25日第1刷 2022年1月17日第13刷 表紙裏に「てきやの話術につられ、つい買ってしまった「まほうのカード」のカラクリ。毎年8月29日から家族総出で始まる、夏休みの宿題との格闘。散々だった七五三。親友たまちゃんが自宅の庭で見かけた幻の生物・ツ…

暗幕のゲルニカ 原田マハ

2016 年 3 月 25 日発行 原田マハの、傑作が再度誕生である。 9.11 後のイラク空爆前夜、米国国務長官が国連の安保理会議場のロビー前で記者会見を行った。その背景にあるべきはずのゲルニカのタペストリーには暗幕がかけられていた。これは著者によると事実…

お助け・三丁目が戦争です  筒井康隆

1986 年 2 月初版発行 お助け 家族同人誌『NULL』に発表し、『宝石』に掲載された。宇宙飛行士として選抜試験と競争に勝ち残り毎日王特訓を受けている主人公が、宇宙意志の体現者となったかのように外界とのテンポがずれてしまい、最後には事故を起こし、ト…

現代語で読む 野菊の墓 伊藤佐千夫 (現代語訳 城島明彦)

2012年9月初版第1刷発行 15歳の政夫と17歳の民子の純愛物語。幼い頃から仲良しだった2人がいつしか互いを意識するようになり、またそんな関係を世間が冷やかしの目を見るので母は二人を引き離そうとする。それでも畑での綿積みの仕事を二人にやらせる時に母…

阿部一族 森鴎外

新潮文庫 昭和 43 年 4 月 20 日発行 昭和 43 年 9 月 30 日 2 刷雨の日文庫6 昭和 46 年 6 月 30 日発行 熊本の細川藩の藩主細川忠利の死後、家臣たちの殉死が次々に描かれている。 どうしてこんなに殉死の場面を描き続けるのか疑問に思って調べたら、執筆…

偉人たちの挑戦 数学・天文学・地学編1 東京電機大学編

2022年2月20日第1版1刷発行 ブレーズ・パスカル 孤高の数学者であり哲学者 “人間は考える葦である”で有名なスカルは自動計算機を発明し、これが源となって現在のコンピュータがある。若くして数学の才能を発揮したパスカルは、28歳で父を亡くし、第2の回心…